ガイアの夜明け「何もない町”に人を呼ぶ!」ベビースターのテーマパーク「おやつタウン」【過去放送】2019年8月20日
夏、行楽シーズン真っ盛り。有名な観光地は大勢の客で賑わっているが、約1700あるニッポンの市町村には日本人でも知らないような町がたくさんある。観光客も来なければ過疎化が進み、元気がなくなっていく・・・。そんな中、驚きの手法で”なにもない町”に人を呼び込む動きが広がっている。地方を元気にする、これまでにない新しい取り組みだ。シリーズ「ニッポン新名所ウォーズ」第3弾は、何もない場所に客を呼び、日本全国津々浦々を名所にしようとする仕掛け人たちの動きを追う。
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◆ロケを誘致して町おこし!その仕掛け人に密着
人口3万4000人ほどの小さな市、岩手県久慈市に観光シーズンともなれば多くの客が全国から訪れます。
その理由は、2013年に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台になったこと。
すでに6年がたっていますが、いまもそのロケ地を見たいとファンが詰めかけているそうです。
「初めて来たけどドラマを見ていたから懐かしさを感じる」
「子供の頃に来た感じがする」
ロケを契機に、なにもない場所が名所となり、人が来れば、地元は潤うという構図。
あまちゃんの経済効果約32億円。
「遠くて不便で寒くて暗くて何もなくて寂しい街だった あまちゃんのロケ地になって大きく変わった」
「万引き家族」のロケ地となった千葉県出水市でも同じ現象が。
今どんどん成功事例ができており何もないところが聖地になっているのです。
◆地域活性化を図る取り組み「ロケツーリズム」
こうしたロケをきっかけにして地域活性化を図る取り組みを“ロケツーリズム”というそうです。
これを仕掛けているのが、地域活性プランニングという社員約20人の会社。
「ロケナビ!」というロケ地として貸したい人や団体と借りたい映像制作者をマッチング サイトを運営。
全国のロケ地候補をデータベース化して、映画やテレビの制作者とマッチングします。
さらにロケ地となった場所の魅力を特集した雑誌を発行したり、その土地のグルメを紹介し、販売するサイトも持っています。
それだけでなく実際にロケを誘致した自治体に対してコンサルを行い、その後もその場所に客が来続けるよう、一緒になって様々な仕掛けを考えます。
藤崎社長 「地域にはいいものがあるが、日本全国にわかってもらえない。 どう効果的に地域の魅力を発信するか 。目をつけたのが映画やドラマのロケ。 」はこう語ります。
6年前にソフトバンクから転職してきた仕掛け人の一人、地域活性プランニングの木庭清美さん。
地域にはそれぞれ違う顔があるがその魅力が伝わっておらず、それを広めていきたいなと探しているうちに今の仕事に出会ったそうです。
「毎週違う地域の相談が入ってくるので、何がある地域なのかを探してどうして行くか決めていく」
これまで千葉県の茂原市やいすみ市などを映画やテレビのロケをきっかけに地域活性させてきた木庭さん。
自治体と制作者のマッチング大会なども手掛けます。
千葉県茂原市人口約89000人。
「古い昭和の設定でもいける。エキストラを使えば活気ある商店街になる」
1年で150キロのロケを誘致し一年で4本の映画ドラマのロケ地に採用されています。
千葉県いすみ市、映画「万引き家族」のロケ地も手がけました。
「ロケ地に来ましただけで観光客が帰ってしまうと街にお金が落ちないので経済効果が生まれない」
取り組みの一つとして地元商工会メンバーとご当地グルメ作りなども行います。
木庭さんが次に挑むのは、愛知県の南に位置する幸田町。
目立つ観光資源もない町なのですが、去年から町長がロケツーリズムに注目し、今後観光に力を入れていく方針。
しかし住民も認める“なにもない町”にどうやって客を呼ぶのでしょうか?
そこで町役場の春日井幸弘さんは木庭さんに助けを求め、早速木庭さんは現地視察へ。
果たして、“なにもない幸田町”はロケ誘致に成功するのでしょうか。
◆何もないが武器になる!小さな町にロケを呼べ
愛知県幸田町人口約42000人。
幸田町産業振興課春日井さん 。
「観光は甲田町には何もないなと。ちょっと寂しい。地域の活性化を考えたらロケ誘致が観光に繋がらないかと」
幸田町は去年9月ロケナビと契約。しかしコンサル料を含む年間約200万円支出は活かせていないようです。
「問い合わせは全くほぼないと言っていい。お金を払って登録しているのはメリットはあるのかと。それが本音です」
木庭さんは対策として映画製作関係者とともに幸田町に向かいます。
「ロケ実績もほぼない状況。こういうところがいい、こんな家が欲しいとか積極的に言ってください。」
映画制作関係者の意見をどんどん取り入れます。
「意外と制作者が欲しいものを地域の人達は分かっていない。製作者がここがいいと言ってくれる。」
春日井さん
「僕らは素人なのでプロの制作者が見ると普段は何とも思っていないところがロケの現場になることがある」
「町も変わると思う。活性化に繋がる部分は出てくる。ロケ誘致が決まるようにこれからも頑張る。」
今年中に日本の映画ロケが決定した幸田町。
「まだまだ私も知らない所があるので探した付けたい」木庭さんの挑戦は続きます。
◆ド田舎に誕生・・・ベビースターのテーマパーク その勝算は
県庁所在地ながら、観光面では目立ったスポットも少なく、県内の伊勢志摩や長島などに客を取られている三重県津市。
人口約278000人。しかし地元の人が認めるようにこれというところがありません。
タクシードライバーも「ここは観光客が来るところじゃない」と語るほど。
そんな津市内の郊外に、異彩を放つ黄色い建物が存在します。
それが「おやつカンパニー」の久居工場。
おやつカンパニー久居工場では年間5億食を製造しています。
1959年の販売開始以来、親子3世代にわたって愛される「ベビースターラーメン」を作っています。
1959年ベビーラーメン販売開始、1973年ベビースターラーメンに名称変更。
元々地元の駄菓子屋で販売されていたお菓子を、全国区にまで広げたのが、創業2代目社長の松田好旦さん。
松田社長は「昔はお菓子=子供たちのお腹の足しにならなくてはいけなかった。美味しくて値打ちだし人気になった」と語ります。
今は会社の株を外資系ファンドに売って経営から退いた松田社長にはあきらめきれない大きな夢があります。
「昔も今もベビースターを食べてくれた全ての子供達のために、感謝を伝えるテーマパークを作りたい」
松田社長は私財を投じテーマパーク作りの新会社を設立。
「テーマパークは15年くらい前から作ろうと思っていた。今まで支えてくれた子供達とか、今親子三世代になっているから。おじいちゃんおばあちゃんから子供たちに対する感謝」
創業の地である津に、20年来の夢であったテーマパークの建設を進めることを決意。
すでに工事は開始されており、1200坪と小さな敷地にベビースターをテーマに、グルメや体験、アトラクションまで、子供達が喜ぶ施設を建設予定。
やむことなない松田社長の熱意とこだわり。
しかしテーマパークとしては立地が悪く、そもそもテーマパーク運営ノウハウもありません。
松田社長の夢を実現させる助っ人が嶋田亘克さん(44歳)。
かつて、オリエンタルランドで集客戦略を務めたこともある凄腕人物。
ベビースターのテーマパーク「おやつタウン」の開業は7月20日。
松田社長と嶋田さんのタッグで集客は成功するのでしょうか。
◆何もない地方に人を呼び続けることができるか
おやつタウン常務嶋田さんは、オリエンタルランド出身で東京ディズニーシーの立ち上げにも携わり、書籍も手がけています。
津市中心部から車で約30分最寄り駅からの交通アクセスなしという、悪条件にある「おやつタウン」建設予定地。
「その駅を降りた瞬間にお断りしてさっさと帰ろうと思った。3時間過去の歴史からおやつタウンにかける思いを松田社長から一方的に語られてこれはお受けするしかないと思いました。」
「ディズニーランドだったらシンデレラ城がある。やっぱりアイコン(象徴)がある。おやつタウンといえばホシオくんが絶対あった方がいい。」と嶋田さん。
「日本中の屋内アスレチック全部の大きさを調べてとにかく一番大きなものに」と社長からの指示。
フードコートにも松田社長のこだわりが
「ここでしかできないものを出さないと絶対に来てもらえない」
「ずっとテーマパークをやりたいなというのはあったゲストに対して価値を提供するこんなに面白い仕事はないと思う」そう語る嶋田さん。
オープンまで約2週間となった7月3日。フィギュアスケートの浅田真央さんが来園しPRします。
そして7月20日オープン当日!
ベビースターのキャラクターホシオくんがお出迎え。
日本最大級の屋内アスレチック そしてオリジナルベビースター作りができるイベントも大盛況!
オープン1ヶ月の来場者は約6万人。津市の人口約28万に対し初年度目標40万人は大きな目標でしょう。
嶋田さんいわく「開業してしばらくは一定の話題性で来てもらえるがそこでリピーターを生むのが重要な要素になる」
地方に人を呼ぶだけでなく経済効果、お金を落としてもらうことを目的。
何もない地方に人を呼び続けることができるかそれがポイントでしょう。